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渡航者医療センター

ワクチンの解説

更新日:2021年9月24日

A型肝炎ワクチン

A型肝炎は汚染された飲食物や食器を介してかかる病気です。とくに、生の海産魚介類などを食べて感染するケースが多いようです。症状は、発熱や黄疸、全身倦怠感などの症状をおこします。アジア、アフリカ、中南米に広く存在し、今でも数多くの患者が発生しています。
A型肝炎ワクチンは、たとえ短期間であっても、途上国に滞在する方には接種をお奨めします。特に60歳以下の人は抗体保有率が低いため、接種をお奨めします。小児では、主に1歳以上に接種をお奨めします。

ワクチン 接種回数 接種間隔の目安
2回目 3回目
A型肝炎(国産) 3回 2~4週間 6~12か月後
A型肝炎(輸入) 2回 6~12か月後  

B型肝炎ワクチン

B型肝炎は性行為や医療行為の際の汚染された注射器や輸血などから感染します。発展途上国で広く流行しており、中国、東南アジア、アフリカは高度流行地域です。健康な成人が発病した場合には、一過性な黄疸や全身倦怠感、発熱などの症状をおこし、さらに一部の人は劇症化し、命を失うこともあります。また、慢性化することもあります。高度流行地域に滞在する場合は、B型肝炎ワクチン接種をお奨めします。なお、0歳の小児の場合には、予防接種法の定期接種に含まれています。

接種回数 接種間隔の目安
2回目 3回目
3回 4週間 6~12か月後

破傷風トキソイド

破傷風菌は世界中の土の中に存在し、ケガをすると傷口から侵入します。発病するとけいれんをおこし、死亡することの多い病気です。ケガをしてから医療施設を受診し、破傷風ワクチンの接種を受けることもできますが、海外では医療施設の受診をためらう方が多く、それだけ発病のリスクも高くなります。
そのため、破傷風トキソイドは、海外渡航の有無に関わらず接種が勧められますが、出発前の機会に接種をお奨めしています。
なお、小児の場合には、3種混合ワクチン(DTP:ジフテリア、破傷風、百日咳)に含まれていますので、破傷風トキソイド単独で接種する必要はありません。

接種回数 接種間隔の目安 有効期間の目安
2回目 3回目
3回 4週間 6~12か月後 10年

※小児期にDTPワクチンを接種済の成人では、追加として1回接種を行う場合もあります。

狂犬病ワクチン

狂犬病は、発病するとけいれんや意識障害などをおこし、ほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。イヌだけでなくキツネ、アライグマ、コウモリなどの哺乳動物に咬まれて感染します。海外では、オセアニアなど一部を除き、アジアやアフリカ、中南米などでは、多くの患者が発生しています。
狂犬病ワクチンは、これらの国への旅行する人や長期滞在、研究者など動物と直接接触し感染の機会の多い場合や、奥地・秘境などへの渡航ですぐに十分な医療機関にかかれない人にお奨めします。しかし、事前に狂犬病ワクチンを接種していても、現地で動物に咬傷された場合には、追加接種が必要です。

日本脳炎ワクチン

日本脳炎は蚊に媒介される病気で、東アジア、東南アジア、南アジアで流行しています。
日本脳炎ウイルスを保有する蚊の刺咬によって感染します。発病すると意識障害や麻痺などの急性脳炎をおこし、死亡率が高く、後遺症を残す例も多くみられています。都市部で感染することは稀な病気ですが、とくに農村地帯を生活の基盤とする場合など、日本脳炎ワクチンの接種をお奨めします。
なお、小児の場合には、予防接種法の定期接種に含まれています。

接種回数 接種間隔の目安 有効期間の目安
2回目 3回目
3回 1~4週間 約1年後 4~5年

黄熱ワクチン

黄熱は蚊に媒介される病気で、熱帯アフリカや南米が流行地域です。通常はジャングルの中で流行しているため、渡航者が感染することは稀です。しかし、時に都市部にも流行が波及することがあり、発病すると死亡率が高いことから、流行国に滞在する際には、短期間であってもワクチン接種をお奨めしています。

なお、流行国の中には、入国する際にワクチン接種証明書の提示を求める国があります。どの国で要求されているかは、検疫所のホームページをご参照ください。
黄熱ワクチンは1回の接種で生涯有効です。接種済み証明書は接種後10日目から有効になります。

※検疫所や検疫衛生協会など、限られた施設でのみ接種が可能です。
検疫所のホームページ http://www.forth.go.jp/index.htmlをご参照ください。

※東京医科大学病院渡航者医療センターでは、黄熱ワクチンの接種が可能です。

腸チフスワクチン

腸チフスは汚染された飲食物や排泄物からかかる感染症で、途上国とくに南アジアやアフリカで流行しています。発病すると発熱をおこします。抗菌剤で治療することが可能ですが、最近は、抗菌薬に対する耐性化の問題が指摘されています。

日本では腸チフスワクチンが市販されておらず、未承認ワクチンです。しかし、南アジアに滞在する場合は接種をお奨めします。

※東京医科大学病院渡航者医療センターでの、腸チフスワクチン
渡航者医療センターでは、腸チフスワクチン(ViCPS:注射)を海外から輸入し接種を行います。接種回数は1回で、追加接種の目安は3年です。お気軽にご相談ください。

髄膜炎菌ワクチン

髄膜炎菌感染症は、咳などで人から人に飛沫感染し、髄膜炎や敗血症をおこします。世界中で発生していますが、とくにアフリカの“髄膜炎ベルト”(サハラ砂漠の南方で、セネガルからエチオピア・スーダン)、中近東で流行を繰り返しています。その他、アメリカ、ヨーロッパなどでも寮生活をする学生の間で流行が発生し、問題になることがあります。

※東京医科大学病院渡航者医療センターでの、髄膜炎菌ワクチン
渡航者医療センターでは、日本で2014年7月に承認された4価結合型髄膜炎菌ワクチン(Meningococcal ACWY:MenACWY:MCV4)と海外から輸入したB群髄膜炎菌ワクチン(Meningococcal B:MenB)を取りそろえています。

ポリオワクチン

ポリオはポリオウイルスによって、麻痺をきたす病気です。南アジア、アフリカでは、今もポリオ患者の発生がみられています。
海外では小児期にポリオワクチンを3回以上接種していますが、日本では2回接種で、感染予防には必ずしも十分ではありません。流行地域に滞在する際には追加接種を受けておくと安心です。また、昭和50年から52年生まれの人はポリオワクチンの効果が低かったことがわかっていますので、海外旅行と関係なく追加接種を受けるように努めてください。

コレラワクチン

コレラは途上国を中心に世界的な流行が続いています。生の海産魚介類などから感染する病気ですが、近年流行しているコレラは症状も軽く、軽症の下痢ですむのが特徴です。治療としては、水分を補う適切な補液が中心です。

※東京医科大学病院渡航者医療センターでの、コレラワクチン
渡航者医療センターでは、海外からコレラワクチンを輸入して接種を実施します。冷水に混ぜて内服します。接種前後の1時間は飲食や服薬を控えていただきます。下記のスケジュールになります。出発1週間前までには終了できるようにしましょう。
なおコレラワクチンは、病原性大腸菌の予防効果も存在し、旅行者下痢症に対する予防接種としても期待されています。お気軽にご相談ください。

対象 接種回数 接種間隔の目安 有効期間の目安
成人と6歳以上 2回 1~6週間 約3年
2歳以上6歳未満 3回 1週間間隔 約3年

問合せ先

東京医科大学病院 渡航者医療センター
〒160‐0023 東京都新宿区西新宿6-7-1 東京医科大学病院8階
電話 : 03-5339-3726(直通)
E-mail : travel@tokyo-med.ac.jp

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