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渡航者医療センター

海外感染症流行情報

海外感染症流行情報(2024年12月号)

東京医科大学病院 渡航者医療センター

全世界: COVID-19の流行状況

欧米諸国や日本では12月に入ってCOVID-19の患者が増加傾向にありますが、昨シーズンよりも報告数は少なくなっています(米国CDC 24-12-20、ヨーロッパCDC 24-12-20、厚生労働省 24-12-20)。ウイルスの種類としてはオミクロン株のXEC型が世界的に増えており、米国や欧州では50%近くを占めています。北半球では今後もXEC型が中心になり、今冬の流行が続くものと予想されます。

全世界: インフルエンザの流行状況

12月になり、欧米諸国や日本ではインフルエンザが流行期に入りました(米国CDC 24-12-20、ヨーロッパCDC 24-12-18、厚生労働省 24-12-20)。今シーズンの欧米や日本での流行状況は、COVID-19流行前のパターンに戻っており、今後、1月頃に流行のピークを迎えるものと予想されます。

アジア: 蚊媒介感染症の流行状況

アジアでのデング熱の患者発生は12月に入り少なくなっています(WHO西太平洋 24-12-12、WHO南東アジア 24-12-11)。今年、東南アジアでは患者数が例年並みか少ない数でしたが、南アジアではインド、パキスタンなどで例年よりも患者数が増えました(米国CDC 24-12-16)。インド南部のタミル・ナードゥ州では11月に患者数が増加し、2万人以上となりました(ProMED 24-12-5)。今年、インドではチクングニア熱の患者南部を中心に1万人以上発生し、過去10年で最多数を記録しています(WHO南東アジア 24-12-11)。

アジア: 麻疹の流行状況

米国CDCは世界の麻疹流行情報を更新し、東南アジアではインドネシア、フィリピン、マレーシア、タイを高リスク国にあげています(米国CDC Traveler’s Health 24-12-16)。また、今年はベトナムでも、ホーチミンやハノイで麻疹患者数が増加しています(ProMED 24-12-6,22)。こうした国々に滞在する場合、麻疹罹患歴が無く、ワクチンを2回接種していない人は、追加接種を受けるようにしてください。

アフリカ:: コンゴ民主共和国での原因不明の発熱疾患

コンゴ民主共和国の南西部にあるクワンゴ州で、10月から原因不明の発熱疾患が流行しています(WHO 24-12-8)。12月20日までに患者数は592人で、このうち37人が死亡しました(ヨーロッパCDC 24-12-20)。ほとんどが小児の患者です。12月17日に同国保健省は患者の大多数がマラリアであると報告しましたが、引き続きWHOなどによる調査が行われています。

北米: 米国で鳥インフルエンザH5N1型患者が増加く

今年、米国では鳥インフルエンザH5N1型ウイルスの患者が発生しており、12月中旬までに患者数は65人になりました(米国CDC 24-12-23)。患者の発生はカリフォルニア州で36人と最も多く、同州は12月18日に緊急事態宣言を発しています。患者の大多数はウシや家禽の牧場労働者で、症状は結膜炎や上気道炎など軽度ですが、12月初旬にルイジアナ州で発症した患者は、自宅で飼っている家禽から感染し、重症になっています(米国CDC 24-12-18)。現在、米国では牧場のウシや家禽の間で、H5N1型の流行が広く拡大しており、ヒトへのさらなる感染が懸念されています。

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