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渡航者医療センター

海外感染症流行情報

海外感染症流行情報(2024年10月号)

東京医科大学病院 渡航者医療センター

全世界: COVID-19の流行状況

欧米諸国や日本では10月に入りCOVID-19の患者数が減少しています(米国CDC 24-10-25、ヨーロッパCDC 24-10-25、厚生労働省 24-10-25)。ウイルスの種類としてはオミクロン株JN.1系統のKP.3型が主流で、同系統のXEC型も増加傾向にあります(WHO corona 24-10-10)。なお、日本では10月から高齢者を対象にした定期接種が始まりました。ワクチンの抗原株はJN.1系統を用いており、現在の流行株には有効とされています。

全世界: エムポックスの流行状況

エムポックスの流行状況は、ここ1ヶ月で大きな変化はみられていません(WHO Mpox 24-10-25)。重症化しやすい1型ウイルスの患者は、コンゴ民主共和国、ブルンジ、ウガンダなどで引き続き発生しています。また、10月中旬にドイツで1型ウイルスの患者が確認されました(ECDC 24-10-25)。この患者はアフリカのルワンダからの帰国者でした。

アジア: 蚊媒介感染症の流行状況

デング熱の患者数は東南アジアで減少傾向にありますが、インドなど南アジアで増加しています(WHO西太平洋 24-10-17, WHO南東アジア24-10-13)。とくにインド南部のカルナータカ州(州都ベンガルール)やケララ州では、患者数が例年よりも増えています。また、インド中部のマハーラーシュトラ州(州都ムンバイ)では、ジカ熱やチクングニア熱の患者数も増えており、ジカ熱はプネでの発生が多くみられます(ProMED 24-10-20, 23)。流行地域に滞在中は蚊の吸血を防ぐ対策を心がけてください。

アフリカ: ルワンダでマールブルグ熱の流行発生

東アフリカのルワンダで、9月末からマールブルグ熱の流行が発生しています(WHO 24-10-18,25)。患者は首都キガリで多く、10月末までに64人の患者が確認され、うち15人が死亡しました。10月中旬以降、新たな患者発生は抑えられています。マールブルグ熱はエボラウイルスに近縁のウイルスで起こる出血熱で、患者の体液などから感染します。

ヨーロッパ:: 各地で麻疹が流行

今年はヨーロッパ各地で麻疹の患者数が増えています(ECDC 24-10-11)。10月中旬までにイタリアで864人、ドイツで698人、英国ではイングランドだけで2562人の患者が確認されました。麻疹はアジアやアフリカで流行が拡大していますが、日本での今年の患者数(10月中旬までに32人)と比較すると、ヨーロッパでも患者数が多いことが分かります。

北米: 米国で感染経路不明のH5N1型患者発生

米国で鳥インフルエンザH5N1型ウイルスの感染者が増えていることを前号で報告しましたが、その後も感染者は増加し、10月下旬までに31人となりました(米国CDC 24-10-24)。このうち家禽からの感染が11人、ウシからの感染が19人、不明が1人です。ここ1ヶ月はカリフォルニア州やワシントン州のウシ農場での感染例が増えており、感染者の症状は結膜炎など軽症とのことです。

中南米: デング熱の患者数が過去最多

汎米保健機構(PAHO)の報告によれば、今年の中南米でのデング熱患者数は1170万人になり、統計開始以来で過去最多になりました(PAHO 24-10-18)。ブラジルでの患者数が最も多くなっていますが、最近1ヶ月はメキシコなど中米での患者数が増えています。

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