先進医療の取り組み
先進医療とは
先進医療とは、国民の安全性を確保し、患者さんの負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたものです。
「先進医療に係る費用」については全額自己負担
先進医療を受けた時の費用は、次のように取り扱われ、患者さんは一般の保険診療の場合と比べて、「先進医療に係る費用」を多く負担することになります。
- 「先進医療に係る費用」は、患者さんが全額自己負担することになります。詳細な金額については「東京医科大学病院 先進医療一覧」をご参照ください。
- 「先進医療に係る費用」以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。つまり、一般保険診療と共通する部分は保険給付されるため、各健康保険制度における一部負担金を支払うこととなります。
※詳しくは、厚生労働省「先進医療の概要について」をご確認ください。
東京医科大学病院 先進医療一覧
(令和7年8月5日 現在)
眼科
- 細菌又は真菌に起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)
-
適応症:前房蓄膿、前房フィブリン、硝子体混濁又は網膜病変を有する眼内炎
先進医療に係る費用:
21,131円(先進医療A)算定開始年月日:令和7年5月1日
治療方法:内眼手術直後からの眼痛、前房蓄膿、硝子体混濁を呈する外因性眼内炎、体内に感染巣があり眼痛、前房蓄膿、硝子体混濁を呈する内因性眼内炎では早急に細菌感染を疑い検査する必要がある。このような症例の前房水を前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、本診断により細菌16SrDNAの定量をおこなう。この診断に基づいて適正な抗生剤投与、硝子体手術をおこなう。当院眼科においては年間約30例の患者が本検査の対象となる。
経中心静脈高栄養法や各種カテーテルの留置に伴った真菌血症が全身的にあり、網膜後局部に網膜滲出斑、硝子体混濁、牽引性網膜剥離、前眼部炎症を呈する眼内炎では早急に真菌感染を疑い診断を付ける必要がある。このような症例の前房水を前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、本診断により真菌28SrDNAの定量をおこなう。この診断に基づいて適正な抗生剤投与、硝子体手術をおこなう。担当診療科:眼科
- ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)
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適応症:豚脂様角膜後面沈着物若しくは眼圧上昇の症状を有する片眼性の前眼部疾患(ヘルペス性角膜内皮炎又はヘルペス性虹彩炎が疑われるものに限る。)又は網膜に壊死病巣を有する眼底疾患(急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎又は進行性網膜外層壊死が疑われるものに限る。)
先進医療に係る費用:
29,250円(先進医療A)算定開始年月日:平成29年9月1日
治療方法:ヘルペス性角膜内皮炎、ヘルペス性虹彩炎が疑われる片眼性の前眼部疾患。急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎、進行性網膜外層壊死が疑われる網膜壊死病巣を有する眼底病変は、ヒトヘルペスウイルスが病因と疑われる。このような症例の前房水を前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、 本診断法によりHSV-1,HSV-2,VZV,EBV,CMV,HHV-6,HHV-7,HHV-8のDNAの同定と定量をおこなう。この診断に基づいて適正な抗ウイルス治療をおこなう。
担当診療科:眼科
産科・婦人科
- ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術
-
適応症:不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る。)
先進医療に係る費用:
24,000円(先進医療A)算定開始年月日:令和6年11月1日
治療方法:
- 対象及びランダム化
- ICSI 適応患者で、ICSI 後に反復流産や着床不全がみられた患者。または、夫が奇形精子症の患者を対象とする。説明後同意が得られた対象をICSI 群とPICSI 群の2 群にランダムに振り分ける。
- 卵子・精子の処理
- 採卵の3 時間後にヒアルロニダーゼを使用して裸化を行い、第一極体が放出されている卵子を成熟卵とし、ICSI の対象とする。
- 採卵の朝に採精してもらい15~30 分液化させた後マクラーカウンティングチャンバーで一般精液検査を行う。正常形態率は精液の塗抹標本作成後にDiff-Quik で染色を行い、strict criteria に準じて求める。
- 精子の処理はIsolate2 層法で行い、再度洗浄した後に沈渣を0.5ml に調整してインキュベートしておく。
- HBA アッセイ
- 調整後精子はICSI の前にHBA○R Assay を使用してHBA スコアを求める。
- ヒアルロン酸がコーティングされているスライドガラスに調整後精子を5~10μl滴下し、カバーガラスを被せる。
- 室温またはインキュベーターでしばらく静置し、ヒアルロン酸に結合している運動精 子の割合を求める。
- ICSI 手技と胚培養
- 精子の選別、不動化、インジェクションピペット内への充填はICSI 群ではPVP をPICSI 群ではSpermSlowTM を使用する。
- ICS 群の精子選別は、PVP の上端まで泳ぎ上がった中で形態の良好な精子を培養士が目で見て行う。
- PICSI 群の精子選別は、SpermSlowTM とGamete Buffer のドロップの境界でヒアルロン酸の3 次元ネット構造に捕まり限りなくゆっくり動いている精子を選んでいく。
- 精子の注入を終えた卵子は、single step medium を使用し30μlでドロップ培養を行う。
- 胚凍結と胚移植
- 培養5 日目から6 日目に胚盤胞になった胚をvitrification 法で凍結保存する。
- 胚移植は原則として凍結融解単一胚移植にて行い、移植の際はグレードの高い胚盤胞から優先的に移植し両群に偏りが生じないように注意して行う。
- 評価項目と評価タイミング
- 評価する項目と評価するタイミングは以下の通り行う。
① Day1
正常受精の確認。雌性前核と雄性前核の両方が確認できた胚(2PN 胚)を正常受精卵と判断する。受精率は、正常受精卵数/MⅡ卵子数×100 (%)で算出する。
② Day3
形態評価によりグレード1 胚率を求める。Veeck の分類に基づきDay3 における胚の分割速度も考慮し、割球の数は6 細胞以上、割球の大きさが均等でfragment の無い胚をグレード1 胚とする。グレード1 胚率は、グレード1 胚数/正常受精卵数×100 (%)で算出する。
③ Day5
Gardner の分類に基づき、胚盤胞の形態評価を行う。3BB 以上の胚盤胞へ発生した割合を求める。胚盤胞到達率は、3BB 以上の胚盤胞数/継続培養数×100 (%)で算出する。
④ 妊娠率と流産率
移植後14 日目前後の血中hCG 濃度が陽性で、移植から6~8 週の時点で胎嚢(GS)が確認できた時点で臨床的妊娠と判断し、妊娠率を求める。妊娠率は、臨床的妊娠数/移植数×100 (%)で算出する。臨床的妊娠後、流産が起きた場合は流産率として記録する。流産率は、流産数/臨床的妊娠数×100 (%)で算出する。
⑤HBA スコア
処理後の精子をICSI またはPICSI に使用する前にHBA○R Assay を用いてHBA スコアを求める。
HBA スコアは合計で200 個の精子をカウントし、ヒアルロン酸に結合した運動精子/ヒアルロン酸に結合した運動精子+ヒアルロン酸に結合していない運動精子×100(%)で算出する。
- 評価する項目と評価するタイミングは以下の通り行う。
担当診療科:産科・婦人科
- 対象及びランダム化
- 子宮内膜刺激術
-
適応症:不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る。)
先進医療に係る費用:
35,000円(先進医療A)算定開始年月日:令和6年10月1日
対象:胚移植を必要とする不妊症
治療方法:
体外受精により作出された受精卵を体外で5~6日間培養し、得られた胚盤胞は一旦凍結保存する。この際に体外培養に使用された培養液(当院ではSAGE 1-Step メディウムを約50~100μl使用)を、胚盤胞とは別の容器に封入した後に凍結保存しておく。この培養液(リンス液という)の中に、受精卵が成長する過程に排出される伝達物質が含まれていると考えられる。
胚盤胞移植(凍結融解胚移植)は自然排卵周期またはホルモン補充周期で行う。
自然排卵周期の場合は月経開始10日目頃より数回の診察を経て排卵日が確定すれば、排卵後2~3日目にリンス液を子宮内に注入する。さらに排卵後4~5 日目に凍結保存した胚盤胞を1 個融解して移植を行う。
ホルモン補充周期では月経開始2日目から卵胞ホルモン製剤の投与を開始し、月経12~14日目の診察でホルモン値や子宮内膜厚の確認後問題なければ月経15 日目より黄体補充を開始する。黄体補充開始後2~3 日目に、リンス液を子宮内に注入する。さらに黄体補充開始後4~5日目に、凍結保存しておいた胚盤胞を1 個融解して移植を行う。排卵または黄体補充開始後15日目頃に血中hCG を測定し妊娠判定を行う。妊娠判定が陰性であれば、観察は終了とする。
妊娠判定が陽性となれば、引き続き経過を観察し超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊娠と判定し観察終了とする。胎嚢が確認できなければ化学流産として観察は終了とする。担当診療科:産科・婦人科
- 子宮内膜受容能検査2
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適応症:不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床又は妊娠に至っていない患者に係るものに限る。)
先進医療に係る費用:
93,400円(先進医療A)算定開始年月日:令和6年10月1日
治療方法:
- 対象:反復着床不全の患者、また卵巣機能不全や高齢など貴重胚移植予定患者にも適応とする。
- 実施方法:通常診療として実施されるホルモン補充による凍結融解胚移植のプロトコール通りに内膜環境を整え、黄体ホルモン補充開始日をP+0 とすると、着床の窓の期間に発現するReceptive 遺伝子があるとされるP+5 にエンドサクション(八光)等による内膜採取を行う。ERPeakSM の結果判定は、pre-receptive( 受容期前) 、receptive(受容期)、post-receptive(受容期後)、non-receptive(非受容期)の4 段階評価であり、そのERPeakSM 解析結果をもとに、次周期以降に着床の窓に合わせた胚移植(personalized embryo transfer, pET)を施行し、妊娠の有無を判定する。
- 分析結果の評価とその後の移植計画策定
この手技を用いた群と用いなかった患者群を比較し、その臨床的妊娠率、生産率等を比較する。
担当診療科:産科・婦人科
- 子宮腺筋症病巣除去術
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適応症:子宮腺筋症(閉経前、かつ、月経がある患者であって、妊孕性の温存を希望するものに係るものに限る。)
先進医療に係る費用:
327,000円(先進医療A)算定開始年月日:令和6年10月1日
治療方法:子宮腺筋症病巣除去術は子宮温存を希望する子宮腺筋症患者に対して、妊孕性温存を目的として行う手術療法である。開腹・鏡視下に子宮腺筋症病巣を除去したのち、残存した組織を縫合・修復して子宮の形成・温存を行う。
担当診療科:産科・婦人科
- 膜構造を用いた生理学的精子選択術
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適応症:不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る。)
先進医療に係る費用:
24,800円(先進医療A)算定開始年月日:令和5年8月1日
治療方法:
【選択基準】
対象:本研究の対象者は、
- 1回以上顕微授精を実施しても移植可能胚が得られず、または胚移植しても妊娠に至らなかった症例で、次の採卵で顕微授精を予定する方
- 本研究の概要や計画を説明し、同意を得られた後、研究対象とする。
【除外基準】
- 高度乏精子症の男性不妊患者
(原精液での総運動性精子数が10万未満総運動性精子数=液量(ml)×精子濃度(1mlあたり)×精子運動率(%)で算出) - TESE/TESA/PESA の対象となる男性不妊症患者
- 凍結融解精子を使用する患者
- 非同意および上記の対象条件を満たさない方
- 生殖補助医療治療計画書を作成時の女性年齢が43歳以上のカップル
- その他、研究責任医師又は研究分担医師等が本研究を安全に実施するのに不適当と判断した症例
担当診療科:産科・婦人科
- 子宮内細菌叢検査2
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適応症:不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床又は妊娠に至っていない患者に係るものに限る。)、慢性子宮内膜炎が疑われるもの又は難治性細菌性腟症
先進医療に係る費用:
45,000円(先進医療A)算定開始年月日:令和4年12月1日
治療方法:子宮内膜細胞採取器具を用いて、自然周期では黄体期に、ホルモン補充ではプロゲステロン投与後5-6 日目に子宮内膜を含む子宮内腔液を採取する。
次世代シークエンサー(new generation sequencer:NGS)を用いて、子宮内腔液に含まれる細菌の16S リボソーム RNA 解析を行うことで、Lactobacillus 属の占める割合、その他細菌叢の分布を明らかにする。担当診療科:産科・婦人科
- 子宮内細菌叢検査1
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適応症:慢性子宮内膜炎が疑われるもの
先進医療に係る費用:
60,000円(先進医療A)算定開始年月日:令和4年4月1日
治療方法:
検査は外来検査である。子宮体部がん検診のように子宮内から内膜を吸引して提出する。検査のタイミングとしては、受精卵が着床する時期の細菌叢を調べることを目的としているため、月経周期の15−25 日頃の黄体ホルモン作用後を推奨している。また、十分な検体量が得られるよう、内膜の厚さは7mm 以上が望ましい。
このような点に注意して行うため手技としては以下の方法で行う。
- 経腟超音波にて子宮内膜厚を測定し、子宮の方向性を確認する。
- 腟鏡診を腟に挿入し、腟内細菌の混入を防ぐため、腟内を生理食塩水を用いて洗浄する。
- 吸引式子宮内膜組織採取器を用いて、子宮内膜を含む子宮内腔液を採取する。
- 採取した検体を検査試薬に注入し、10℃以下で4時間以上保存する。
- 検体をクール便で検査会社に発送。
- 検体到着後はDNA 抽出を行い、次世代シークエンサー(new generation sequencer:NGS)を用いて、子宮内腔液に含まれる細菌の16S リボソーム RNA 解析を行うことで、Lactobacillus 属の占める割合及び、その他細菌叢の分布を明らかにする。
担当診療科:産科・婦人科
- 子宮内膜受容能検査1
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適応症:不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床又は妊娠に至っていない患者に係るものに限る。)
先進医療に係る費用:
100,000円(先進医療A)算定開始年月日:令和4年4月1日
治療方法:
吸引用子宮カテーテルを用いて、子宮内膜を採取する。
ホルモン補充周期の場合は、エストロゲン投与により一定の厚さに子宮内膜を肥厚させ、その後、プロゲステロン投与開始後6 日目(120 時間目)で子宮内膜採取を行う。自然採卵周期の場合はLHサージ後7 日目またはhCG 投与後の6 日目に採取するが、自然周期では、血中LH が不規則に上昇する症例もあり、医師により判断が異なる症例があるため、ホルモン補充周期のみでERAを実施とする。
採取した子宮内膜を検体とし、次世代シークエンサーをもちいて236 遺伝子を網羅的に解析し、内膜組織がReceptive(受容期)かNon-receptive(非受容期)かを評価する。
また、Non-receptive の際はどのくらいReceptive までに差があるかも評価を行う。
子宮内膜が着床を受容する期間に周期を同期させ、胚移植を行うことで着床率の向上を目指す。担当診療科:産科・婦人科
消化器内科
- 不可逆電気穿孔法
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適応症:肝細胞がん(肝内における長径3センチメートル以下の腫瘍が3個以下又は長径5センチメートル以下の腫瘍が1個であって、肝切除術又はラジオ波焼灼療法による治療が困難であり、かつChild-Pugh分類による点数が9点以下のものに限る。)
先進医療に係る費用:
963,810円(先進医療B)算定開始年月日:令和元年8月1日
治療方法:
肝細胞がんの治療として肝切除術やRFAは有効な治療法であり、本邦において広く行われている。しかし肝機能が悪い症例や高齢者では肝切除の適応にならないことが多い。またRFAも胆嚢、胆管、消化管等の熱に脆弱な組織が腫瘍の近傍にある場合には適応とならない。それらの症例には肝動脈塞栓療法(TACE)が広く行われているが、その治療効果は肝切除やRFAと比べ低いのが現状である。そのためTACEは繰り返し行う必要がある。IREはRFAと異なり、治療により熱がほとんど発生しないため、それらの熱に脆弱な組織の近傍にある肝細胞がんに対しても実施が可能である。本研究では、肝切除および RFAが困難で、標準治療としてはTACEが適応となる難治性肝細胞がんを対象とし、IREの有効性を過去のTACEの治療成績と比較することで評価する。[詳細はこちら詳細はこちら]
担当診療科:消化器内科
呼吸器外科・甲状腺外科
- 周術期デュルバルマブ静脈内投与療法
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適応症:肺尖部胸壁浸潤がん(化学放射線療法後のものであって、同側肺門リンパ節・縦隔リンパ節転移、同一肺葉内・同側の異なる肺葉内の肺内転移及び遠隔転移のないものに限る。)
先進医療に係る費用:
1コース 2,800円 ✕ 24 = 67,200円(先進医療B)算定開始年月日:令和3年6月1日
治療方法:
肺尖部胸壁浸潤がん(superior sulcus tumor:SST)に対する術前化学放射線療法後の術前後デュルバルマブ療法および手術不能例のデュルバルマブ維持療法の集学的治療の安全性と有効性を検証する。現在の標準治療では、SST の半数以上の患者において増悪が認められる。しかし、SSTが稀少な疾患であるため、積極的な治療開発が行われてこなかった。本試験では、術前後にデュルバルマブを追加することにより、治療成績の向上を期待するものである。
担当診療科:呼吸器外科・甲状腺外科
消化器外科・小児外科
- 術前のゲムシタビン静脈内投与及びナブ-パクリタキセル静脈内投与の併用療法
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適応症:切除が可能な膵臓がん(70歳以上80歳未満の患者に係るものに限る。)
先進医療に係る費用:
1コース 400円 ✕ 6 = 2,400円(先進医療B)算定開始年月日:令和6年11月1日
治療方法:
70歳以上79歳以下の切除可能膵がん患者を対象に、標準治療である術前ゲムシタビン+S-1併用療法(GS療法)に対する、術前ゲムシタビン+ナブ―パクリタキセル療法(GnP療法)の優越性をランダム化第III相試験において検証する。
主要評価項目:全生存期間
副次評価項目:
無増悪生存期間、術前治療の奏効割合、病理学的奏効割合、非切除割合、R0切除割合、有害事象発生割合(術前、術中、術後)、IADL非悪化割合予定登録数:400人
担当診療科:消化器外科・小児外科
- S-1内服投与並びにパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法
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適応症:膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る。)
先進医療に係る費用:
1コース 35,004円 ✕ 19 = 665,076円(先進医療B)算定開始年月日:令和3年11月1日
治療方法:
他臓器に遠隔転移のない画像上局所進行膵がんに対して審査腹腔鏡検査もしくはバイパス手術を行い、腹膜播種や腹腔洗浄(腹水)細胞診陽性を病理学的に診断する。腹腔内投与ルート作成のために、腹壁ポートを留置する治療開始後21日間を1コースとし、S-1は80mg/m2を14日間内服、7日間休薬。パクリタキセルは第1, 8日目に50mg/m2を経静脈投与、20mg/m2を腹腔内投与。1週間休薬後コースを繰り返す。プロトコールを遵守して、治療を継続する。病勢悪化、重篤な有害事象、患者の希望などのあるときにはプロトコール治療を中止もしくは終了する。試験期間中に根治切除が行われた場合、術後も当該治療を継続する。
担当診療科:消化器外科・小児外科
- 術後のアスピリン経口投与療法
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適応症:下部直腸を除く大腸がん(ステージがⅢ期であって、肉眼による観察及び病理学的見地から完全に切除されたと判断されるものに限る。)
先進医療に係る費用:
研究費で支弁するため患者負担分 0円(先進医療B)算定開始年月日:令和2年4月1日
治療方法:
Stage III(UICC-TNM 第7版)の下部直腸を除く大腸癌[結腸(C、A、T、D、S)、直腸S状部(RS)、上部直腸(Ra)]の治癒切除患者を対象とし、術後補助療法として低用量アスピリンを併用することが、プラセボに対して、無病生存期間において優れていることを検証する。
治療:術後補助化学療法+プラセボ/アスピリンプラセボ/アスピリン:1日1回1錠(100mg)、連日内服する。内服期間は3年とする。pStage IIIA/IIIBではカペシタビン療法、pStage IIICではオキサリプラチン併用療法(mFOLFOX6療法、またはCAPOX療法)を行うことを原則とする。ただし、患者希望により、pStage IIIA/IIIBに対するオキサリプラチン併用療法(mFOLFOX6療法、または CAPOX 療法)、pStage IIICに対するカペシタビン療法も許容する。担当診療科:消化器外科・小児外科
細胞・再生医療センター
- 自己骨髄由来培養間葉系細胞移植による完全自家血管新生療法
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適応症:閉塞性動脈硬化症(血行再建術が困難なものであって、フォンタン分類Ⅲ度又はⅣ度のものに限る。)
先進医療に係る費用:
2,008,463円(先進医療B)算定開始年月日:令和4年4月1日
治療方法:
本技術は患者自身より採取した骨髄間葉系細胞を、自己末梢血から調製した多血小板血漿を用い、細胞調製室で培養し、末梢動脈疾患患者の虚血下肢内へ筋肉注射にて移植を行うことで下肢の血流を改善させる治療法について、その有効性を検討するものである。[詳細はこちら]
担当診療科:細胞・再生医療センター