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健康維持につながる養生のポイント

より健康な生活を送るためにはときに薬や手術も必要となりますが、良い生活習慣が大切なのは論を俟たないと思います。食事や運動など生活上の注意を守って過ごすことを漢方医学では養生といいますが、このページでは漢方医学的な養生の一般的ポイントをごく簡単にまとめてみました。江戸時代に活躍した養生の第一人者、貝原益軒の代表的著書である『養生訓』の文章も、意訳を添えて記してみました。
皆様の日常生活を見直すご参考にしていただければと思います。

食事(糖尿病等すでに食事指導を受け治療中の方はそちらを優先してください)

腹8分目を心掛け、特に夜はたくさん食べないようにしてください。 体重がなかなか減らない方は夜の主食、具体的には米やパン・麺類などを減らすか、可能ならやめる習慣(糖質ダイエット)が有効です。スイーツや甘いジュース・コーヒーなども控えめに。現代医学的には、糖質すなわち炭水化物のみが太る原因と考えられています。
体重計に毎日乗って、体重の「見える化」を図るのも効果的です。

漢方医学的ワンポイント

体重が増えると水毒(体内の水分バランス悪化により、むくみやアレルギー症状が出やすくなります)や瘀血(おけつ:血行不良による冷えや痛み)が悪化すると考えられています。

『養生訓』より

「飲食は飢渇をやめんためなれば、飢渇だにやみなば其上にむさぼらず、ほしいままにすべからず。飲食の欲を恣にする人は義理をわする。是を口腹の人と云いやしむべし」
(飲食をするのは飢えや渇きを抑えるためなので、飢えや渇きがなくなったらさらに暴飲暴食をしてはいけない。食欲のおもむくままに飲食する人というのは、人間として重要な義理も忘れてしまう。これを口腹の人、つまり口とお腹だけでできていて理性のない人と言っていやしむべきである)

運動

膝や腰が悪くなければ基本的にウォーキングがおススメです。まずは一日6000-8000歩を目標に、慣れたら少しずつ歩数を増やしていきましょう。一度に歩くのが難しければ、朝夕2回などに分けてもよいでしょう。天気が悪いときなどは、自宅でのテレビ体操やストレッチなどでもOKです。
現代医学的に、有酸素運動の継続は動脈硬化を予防し老化を遅らせると考えられています。

漢方医学的ワンポイント

運動不足は瘀血の悪化を招くと考えられます。一方で、運動は瘀血のほか気鬱・気逆(自律神経バランスの失調により憂うつ、不安、動悸などの症状が出現)の改善にも有効、神経の緊張を和らげ自律神経のバランスを整えてくれます。

『養生訓』より

「養生の術は、つとむべき事をよくつとめて身を動かし、気をめぐらすをよしとす。つとむべき事をつとめずして、臥す事をこのみ身をやすめおこたりて動かさざるは、甚養生に害あり。久しく安座し身を動かさざれば、元気めぐらず食気とどこほりて、病おこる。」
(養生の方法としては、身体的な労働をしっかり行い、体をよく動かすことでエネルギーを体中に循環させるのがよい。それをせずゴロゴロ寝ていることを好み、怠けて動かないでいることは、養生に大きな害がある。長く楽な姿勢で座ったまま動かなければ、元気が体を循環せず食欲も起こらなくなるため、それが原因で病気になるものだ)

入浴・睡眠

シャワーだけの場合、汚れはとれますが体の芯まで温まりません。それどころか、体の表面についた水が蒸発することで、季節によってはかえって体が冷えてしまうことがあります。短い時間でも必ずバスタブにお湯を張り、ぬるめのお湯に(できればゆっくり)入るとよいでしょう。
現代医学的には、眠る90分前に入浴を済ませるとその後体温が下がり、良い睡眠を得やすくなるとされています。
また、睡眠時間については個人差もありますが、できれば7時間以上を心掛けましょう。

漢方医学的ワンポイント

入浴は運動と同様、血行改善や自律神経バランスの調整(気血の調整)を期待できます。一方、睡眠不足は気鬱・気逆を中心にさまざまな不調に関係します。

『養生訓』より

「夜書をよみ、人とかたるに三更をかぎりとすべし(中略)深更までねぶらざれば、精神しづまらず」
(夜に読書をしたり、おしゃべりをしたりするのは、遅くとも0時までにするのがよい。夜更けまで眠らないと、精神が静まらないからだ)

ストレスをためない

ストレスの多い時代ではありますが、だからこそ日常のストレス管理が大切です。趣味や余暇を持つことはもちろん、食事や運動もできるだけ楽しんで過ごすようにしましょう。

『養生訓』より

「病ある人、養生の道をばかたく慎みて病をば憂ひ苦しむべからず。憂ひ苦しめば、気ふさがりて病くははる。病重くても、よく養ひて久しければ思ひしより病いえやすし」
(病気を持っている人は、適切な養生の方法をしっかりと守り、病気のことをあまり心配しすぎないほうが良い。心配しすぎると気持ちが塞がって、かえって病気が悪くなる。病気が重くても、気長に養生して過ごせば、思っているより病気が良くなるものだ)

文献

「養生訓 全現代語訳」貝原益軒 講談社、「日本人の体質研究でわかった長寿の習慣」奥田昌子 青春出版社、「医者が教える食事術 最強の教科書」牧田善二 ダイヤモンド社、「糖質制限の真実」山田悟 幻冬舎、「スタンフォード式最高の睡眠」西野精治 サンマーク出版

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