東京医科大学病院 TOKYO MEDICAL UNIVERSITY HOSPITAL

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漢方医学センター

コラムなど

COVID-19と漢方(2022年6月)

東京医科大学病院漢方医学センター 及川哲郎、渡邉秀裕

 2020年以降、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。日本もコロナ禍となって、早いもので2年余りがたちました。今回は後遺症を中心にCOVID-19と漢方について考えてみます。

 COVID-19は高齢者や基礎疾患を有する人たちにおける重症肺炎が、まずは大きな問題となります。その場合、抗ウイルス薬,ステロイド,酸素投与を中心とした西洋医学的治療が重要となるため、現時点では残念ながら漢方薬の出番は少ないと思います。しかし一方で、最近はCOVID-19の後遺症状の存在がクローズアップされています。COVID-19の後遺症状については、海外からはCOVID-19に感染した人たちは発症から約2ヶ月の時点においても、80%以上で何かしらの症状を訴えているとの報告もあります。倦怠感、呼吸困難、関節痛、胸痛の他、嗅覚・味覚障害、頭痛、めまい、下痢など多彩な症状が現れますが、現在のところ原因は明確には解明されていません。したがって有効な治療薬もないため治療に難渋することが多く、罹患後の社会復帰が妨げられたり生活の質が低下しているのが現状です。その点漢方は元来、後遺症を含めた感染症の治療が出発点となっている治療体系です。また原因不明の多彩な症状・徴候にも対応しうることが多いため、漢方薬が特効薬とは言えないまでも、後遺症を中心にCOVID-19に関連したさまざまな症状の改善に役立つ可能性があると考えられます。

 コロナ後遺症には、主に補剤と呼ばれる心身の元気の回復に役立つ漢方薬が用いられます。衰えた体に活力を与え滋養する十全じゅうぜん大補たいほとう、呼吸器系の残存症状に効果がある人参にんじんようえいとう、虚弱体質に加え心身・精神の疲れに効果がある加味帰脾かみきひとうなどが試みられています。後遺症状が比較的症状が軽い場合は、免疫抵抗力を上げてくれる補中ほちゅうえっとうなどもよいでしょう。いま日本東洋医学会が主導し、私たち東京医科大学病院漢方医学センターも含めた日本で漢方診療を行う主だった施設が参加して、コロナ後遺症の治療、軽症コロナ感染症の治療、またコロナ感染症の予防などCOVID-19に漢方薬が有効か検証する臨床研究が行われており、それらの結果が注目されます。

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