口唇口蓋裂センター
治療の進め方
出生前
近年では出生前診断が飛躍的に進歩しており、出生前診断を受けた両親に対して、産科、小児科、形成外科、歯科口腔外科からカウンセリングを行っています。カウンセリングでは専門の医師が両親に対して口唇口蓋裂の治療の流れを説明します。
出生直後
最初に直面する問題として哺乳障害があげられます。哺乳改善に有効な方法の一つとして、当院では積極的に哺乳床(ホッツ床、NAM)を用いています。
口唇形成
通常、生後3か月頃に口唇形成術(口唇裂の閉鎖)が行われます。その理由として、3か月もすれば患児の体力がついてくるということと、1か月検診も終えて出生時に診断されなかった合併症もある程度診断されてくるからです。
口蓋形成
通常、1歳半頃に口蓋形成術(口蓋裂の閉鎖)が行われます。口蓋の前方部の硬口蓋まで及ぶ大きな裂がある場合には、当院では顎発育を考慮して二段階法で行っております。
鼻変形
口唇口蓋裂の患者さんでは、鼻部の変形も生じます。このような場合には、骨・軟骨の移植を含む鼻形成術を行い、その形態を整えます。
言語
口蓋裂はことばにも影響します。そこで、言語聴覚士が口蓋形成術前から定期的に言語の発達と構音の評価および指導を行っています。口蓋裂による構音障害に対して言語訓練を行っても、なかなか開鼻声などが改善されず、鼻咽腔閉鎖機能不全と診断された場合には、咽頭弁形成術を行う場合もあります。
中耳炎
口蓋裂の患児では患児では中耳炎や難聴が発症しやすく、耳鼻咽喉科医が定期的に治療を行っています。
歯科矯正治療
口唇口蓋裂の患者さんは不正咬合を生じやすいため、歯科矯正治療を必要とする方が多いです。5歳児頃に評価を行い、その後、程度に応じて歯科矯正治療を開始します。また、顎裂(歯茎に骨がないこと)があると後継永久歯の萌出、移動ができないため、適切な時期に顎裂部骨移植術を行います。
顎矯正手術
口唇口蓋裂の患者さんは、上顎の顎発育が悪く反対咬合など上下顎に不調和が認められるような場合があります。顎矯正手術により咬合の回復を行います。
このように口唇口蓋裂の治療は出生前から成人に至るまでと長期に多岐にわたっており、治療が終わってからも定期的なメインテナンスが必要です。私たち口唇口蓋裂センターのスタッフはその専門性を生かして一貫した体制で患者さんをサポートしてまいります。分からないこと、不安なことなどありましたら、遠慮なくご相談ください。