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耳鼻咽喉科・頭頸部外科

専門外来

診察曜日は外来担当表の専門外来をご覧ください。

頭頸部腫瘍外来

 塚原清彰主任教授を中心に行っています。
 早期癌に対しては従来の放射線治療に加え、経口切除も選択肢となりました。当科ではダヴィンチで行うロボット支援手術 (Transoral Robotic Surgery:TORS)を先進医療Bとして行っています。世界的には広く行われているTORSですが、現在のところ本邦では東京医科大学、京都大学、鳥取大学でしか認可されておりません。従来であれば放射線治療が第一選択で、約1ヵ月半の治療期間が必要であった舌根部中咽頭癌はTORSでは90分ほどの手術時間、約1週間の治療期間となりました。もちろんTORS以外にも内視鏡補助下に切除する咽喉頭内視鏡手術 (Endscopic Laryngo-Pharyngeal Surgery:ELPS)や従来の放射線治療も行っています。
 進行癌に対しては導入化学療法の結果から「臓器温存した薬物併用放射線療法」あるいは「皮弁再建を併用した拡大切除」のいずれが最善かを選択しています。薬物併用放射線療法では従来のシスプラチンに加え、分子標的薬セツキシマブ(アービタックスR)も取り入れています。セツキシマブは腎、肝障害のある方でも使用できます。拡大切除術では最新のエナジーデバイスを使用することで出血、手術時間を短縮できるようになりました。これにより従来夜中近くまでかかっていた、拡大切除、皮弁再建手術も夕方に終わるようになっています。
 頭頸部癌治療は摂食・嚥下、発声・構音といったQOLに直結します。前述のように、近年は様々な治療選択肢が増えてきました。癌治療においては「根治する」と「最善の治療法で根治する」では患者さんのQOLは大きく異なってきます。当科ではこれまでの多くの臨床経験から各患者さんにとって「最善の治療方法を選択・根治する」ことを重要視しています。また、全人的看護、嚥下・発声に対するリハビリ、社会福祉を活用したバックアップなど多職種が連携したチーム医療で患者さんに最も有益な治療を提供しています。

難聴外来
遺伝難聴外来
中耳炎外来
めまい外来・乳幼児難聴外来
補聴器外来

 河野淳教授を中心に行っています。
 難聴外来では標準的な純音聴力検査、語音聴力検査などに加え聴性脳幹反応(ABR)、聴性定常反応(ASSR)、耳音響放射(OAE)、各種インピーダンス検査など大学病院ならではの他覚的聴力検査も行っています。各種検査は新生児からの対応可能です。これにCT・MRIなど様々な画像検査を組み合わせて診断しています。東京医科大学は日本で人工内耳手術を始めって行った施設で、日本最多800例を超える症例に人工内耳手術を施行しました。新生児聴覚スクリーニングの普及により年間50名ほどの新生児・乳幼児難聴児の診察をしています。最近では高音急墜型感音難聴に対して残存聴力活用型人工内耳(EAS)も行っています。EASは低音部を補聴器と同様に音響刺激し、高音部を人工内耳で電気刺激する新しい人工内耳です。補聴器は5社の補聴器会社が月曜と金曜の午後に新規作成や調整を行い、ほぼ全メーカーに対応しています。購入に際しては複数社を試聴してから検討可能です。難聴遺伝子検査は2012年より保険適応となりました。遺伝難聴の場合、患者さんは将来への不安もあります。当科では遺伝専門医とともに、一人一時間の設定で、検査目的から結果まで説明しています。中耳炎外来では主に、難治性滲出性中耳炎の管理、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎の手術適応判断、術後の経過観察を行っています。他にも好酸球性中耳炎、耳硬化症なども扱っています。難聴・中耳炎による聴力低下はQOLに大きくかかわります。適切な治療方法を提供し、多くの患者さんに聞こえる喜びを感じていただき、QOLを改善していただきたいと考えています。
 めまい外来では、平衡機能検査として、赤外線CCDカメラでの眼振検査やENGカロリック検査に加え、cVEMP、oVEMP、vHITを行い、病巣診断を行っています。神経内科、高齢診療科とも合同カンファレンスを行っています。めまいのつらさは他覚的に分からないことも少なくありません。どの程度日常的障害があるか、抑うつ状態があるかなどを、Dizziness Handicap Index やQIDS-SRといったアンケートで判断し、場合によってはメンタルヘルス科に依頼しています。臨床面、学術面の両方面からめまい診療を行い、国際学会、国際誌でも多くの報告を行っています。

鼻副鼻腔・アレルギー外来
睡眠時無呼吸症候群外来

 大塚康司教授を中心に行っています。
 鼻副鼻腔の手術は内視鏡の時代となりました。当科では最新のハイビジョンシステムとナビゲーションシステムを用いて内視鏡手術を行っています。難易度の高い、前頭洞炎に対するDraf 手術や上顎洞乳頭腫に対するEndoscopic medial maxillectomy も積極的に行っています。涙嚢炎や鼻涙管閉塞症に対しては眼科と協力して内視鏡下鼻腔涙嚢吻合術も行っています。
 睡眠時無呼吸症候群の治療はCPAPなどの保存的治療のみではありません。小児でも可能な限りポリソムノグラフィーを行い、客観的評価に基づいて扁桃摘出術やアデノイド切除術の適応を決めています。成人では動的MRI撮影により閉塞部位を特定し、結果により鼻閉改善手術、口蓋扁桃切除術、口蓋垂・軟口蓋・咽頭形成術、舌扁桃切除術そしてオトガイ舌筋前方牽引術などを行っています。

音声外来
嚥下外来

 音声外来は本橋玲講師を中心に行っています。
 音声障害の原因は多岐にわたり、一見原因不明の疾患も散在します。当科は喉頭麻痺に対する披裂軟骨内転術、痙攣性発声障害に対する甲状軟骨形成術Ⅱ型、喉頭外傷後の喉頭形成術など複雑な疾患の治療・手術に対応しています。また、入院を希望されない方には外来日帰り手術を行っています。当院で考案した屈曲カテラン針を用いた手術は病変の切除や注入術に非常に有用です。国際学会、国際誌でも報告しているため、他施設からも多くの医師が見学にいらっしゃいます。主に声帯ポリープ、声帯嚢胞の切除や喉頭麻痺に対しての声帯内注入術を行っております。これまでも日本全国から受診いただいておりましたが、最近は海外からも手術希望の患者さんが来院されています。声についてお困りの患者さんがいらっしゃいましたらどんな症例でも紹介ください。
 嚥下外来は耳鼻咽喉科医師3名、口腔外科医師2名、摂食・嚥下障害看護認定看護師1名、言語聴覚士2名、管理栄養士1名でNSTチーム医療として行っています。昨今の高齢化社会では、死因の約10%が肺炎です。そして65歳以上ではその大部分を誤嚥性肺炎が占めます。嚥下障害は誤嚥性肺炎だけでなく、脱水や低栄養も引き起こすため、嚥下指導の重要性は急速に増大しています。内閣府は食育白書にて、"食べることは生きること"と発表し、生涯食育生活は国家プロジェクトと言っても過言でない時代となりました。当科での評価は、主に嚥下内視鏡検査、兵頭スコアを用いています。内視鏡での評価が困難な症例については嚥下造影を施行し、適切な食形態、リハビリ方法を選択しています。食形態は嚥下食2(ペースト食)、嚥下食3(きざみ食)、嚥下食4(一口大)、常食に分け、水分はとろみ0~1.5%までに分け、複雑な食形態に対応可能です。リハビリは言語聴覚士により食事を使用しない間接訓練から実際に食事を使用する直接訓練まで、段階を踏んで行います。すべてのスタッフが食べることを通して患者さんのQOL改善に努めています。

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