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耳鼻咽喉科・頭頸部外科

専門外来

診察曜日は外来担当表の専門外来をご覧ください。

頭頸部腫瘍外来

塚原清彰主任教授、岡本伊作教授を中心に行っています。
早期癌に対しては従来の放射線治療に加え、経口切除も選択肢となりました。当科ではダヴィンチで行うロボット支援手術 (Transoral Robotic Surgery:TORS)を行っています。2022年に保険収載されましたが、当院では保険適応前から、臨床試験、先進医療として行っており、豊富な経験を有しております。従来であれば放射線治療が第一選択で、約1ヵ月半の治療期間が必要であった舌根部中咽頭癌はTORSでは90分ほどの手術時間、約2週間の治療期間となりました。もちろんTORS以外にも内視鏡補助下に切除する咽喉頭内視鏡手術 (Endscopic Laryngo-Pharyngeal Surgery:ELPS)や従来の放射線治療も行っています。
進行癌に対しては導入化学療法の結果から「臓器温存した薬物併用放射線療法」あるいは「皮弁再建を併用した拡大切除」のいずれが最善かを選択しています。薬物併用放射線療法では従来のシスプラチンに加え、分子標的薬セツキシマブ(アービタックス®)も取り入れています。セツキシマブは腎、肝障害のある方でも使用できます。拡大切除術では最新のエナジーデバイスを使用することで出血、手術時間を短縮できるようになりました。これにより従来夜中近くまでかかっていた、拡大切除、皮弁再建手術も夕方に終わるようになっています。
切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌に対しては2021年から頭頸部アルミノックス治療(光免疫治療)を導入しています。頸動脈など大血管への浸潤がなく、レーザー光を照射可能な再発病変が適応となります。当科では臨床研究も含め、豊富な経験を有しております。
頭頸部癌治療は摂食・嚥下、発声・構音といったQOLに直結します。前述のように、近年は様々な治療選択肢が増えてきました。癌治療においては「根治する」と「最善の治療法で根治する」では患者さんのQOLは大きく異なってきます。当科ではこれまでの多くの臨床経験から各患者さんにとって「最善の治療方法を選択・根治する」ことを重要視しています。また、全人的看護、嚥下・発声に対するリハビリ、社会福祉を活用したバックアップなど多職種が連携したチーム医療で患者さんに最も有益な治療を提供しています。

難聴外来,乳幼児難聴外来,難聴遺伝外来,補聴器外来, めまい外来, 中耳炎外来

【難聴外来,乳幼児難聴外来,難聴遺伝外来,補聴器外来】
西山信宏臨床准教授(臨床遺伝専門医)および白井杏湖講師(臨床遺伝専門医)を中心に診療を行っています。当院では、標準的な純音聴力検査や語音聴力検査に加えて、聴性脳幹反応(ABR)、聴性定常反応(ASSR)、耳音響放射(OAE)、各種インピーダンス検査など、大学病院ならではの他覚的聴力検査も実施しており、新生児を含むあらゆる年齢層に対応可能です。さらに、CTやMRIなどの画像検査を組み合わせることで、精密な診断を行っています。
東京医科大学病院は、日本で初めて人工内耳手術を実施した医療機関であり、これまでに1,200例を超える手術実績があります。近年、高音障害型の感音難聴に対しては、低音部の残存聴力を活かした音響刺激も可能な「残存聴力活用型人工内耳(EAS)」も使用しています。また、「聴覚・人工内耳センター(西山信宏センター長)」を設置し、難聴に関する診断・補聴器や人工内耳の管理からリハビリテーションに至るまで、包括的な支援体制を整えています。新生児聴覚スクリーニングで難聴の疑いがあった場合にも、専属の言語聴覚士と連携したチーム医療を提供しています。
難聴遺伝外来では、2名の臨床遺伝専門医と遺伝カウンセラーが協力し、1組あたり約1時間をかけて、検査の目的や結果について丁寧に説明しています。
補聴器外来では、ほぼ全てのメーカーの補聴器を取り揃えており、複数メーカー製品の比較・検討が可能です。毎年多くの患者さんに対し、認定補聴器技能者(外部)・言語聴覚士・医師が連携し、相談から試聴・調整まで一貫した支援を行っています。
【めまい外来】
稲垣太郎教授(めまい平衡医学会専門会員)を中心に診療を行っています。赤外線CCDカメラを用いた眼振検査をはじめ、cVEMP、oVEMP、カロリックテスト、vHITなど多岐にわたる前庭機能検査に加え、ENGを用いた中枢性病変の検索により、正確な病巣診断を行っています。一方で、前庭機能の障害の程度とめまい症状の強さが必ずしも一致しないことも多いため、Dizziness Handicap Inventory(DHI)やQuick Inventory of Depressive Symptomatology Self-Report(QIDS-SR)などの質問票も併用し、患者さんの状態を多面的に評価しています。急性期のめまいのみならず、慢性のめまい症状を呈する持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)や前庭性片頭痛などの診療も行っています。臨床面・学術面の両面から積極的にめまい診療に取り組んでおり、国際学会や国際誌においても多数の報告実績があります。現在、めまい平衡医学会専門会員は1名在籍しています。
【中耳炎外来】
稲垣太郎教授(耳科手術暫定指導医)、西山信宏臨床准教授を中心に診療を行っています。当院は、日本耳科学会「耳科手術指導医制度」の認可を受けた研修施設です。慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対し、顕微鏡(外視鏡)や内視鏡を適切に用いて、形態・機能の温存を重視した手術を行っています。また、耳硬化症や耳小骨奇形に対する聴力改善手術や、外来で施行可能なトラフェルミン製剤(リティンパ®)を用いた鼓膜穿孔閉鎖術にも対応しています。
さらに、難治性の滲出性中耳炎や好酸球性中耳炎に対する診療も行っています。各種聴覚機能検査や画像診断を用いた正確な診断と適切な治療を提供することで、私たちは多くの患者さんのQOL(生活の質)を向上させ、「聞こえる喜び」を実感していただけるよう努めています。現在、耳科手術暫定指導医は1名在籍しています。

鼻副鼻腔・アレルギー外来
睡眠時無呼吸症候群外来

丸山諒講師を中心に行っています。
【鼻副鼻腔・アレルギー外来】
鼻副鼻腔の手術は内視鏡の時代となりました。当科では最新のハイビジョンシステムとナビゲーションシステムを用いて内視鏡手術を行っています。難易度の高い、前頭洞炎に対するDraf 手術や上顎洞乳頭腫に対するEndoscopic medial maxillectomy も積極的に行っています。涙嚢炎や鼻涙管閉塞症に対しては眼科と協力して内視鏡下鼻腔涙嚢吻合術も行っています。
【睡眠時無呼吸症候群外来】
睡眠時無呼吸症候群の治療はCPAPなどの保存的治療のみではありません。小児でも可能な限りポリソムノグラフィーを行い、客観的評価に基づいて扁桃摘出術やアデノイド切除術の適応を決めています。成人では閉塞部位を特定し、鼻閉改善手術、口蓋扁桃切除術、口蓋垂・軟口蓋・咽頭形成術、舌扁桃切除術そしてオトガイ舌筋前方牽引術などを行っています。

音声外来, 嚥下外来

【音声外来】
本橋准教授を中心に行っています。 音声障害、声帯運動障害の精査のためストロボスコープ、音声機能検査に加え、発声時と吸気時の3DCTを行い診断しています。声帯麻痺に対する披裂軟骨内転術、甲状軟骨形成術、神経筋弁移植術、痙攣性発声障害に対するボツリヌス注射、甲状軟骨形成術Ⅱ型、甲状披裂筋切除術、喉頭外傷後喉頭形成など複雑な疾患・手術に対応しています。症例によっては外来日帰り手術も行っています。当院で考案した屈曲カテラン針を用い、声帯ポリープ、声帯嚢胞の切除や痙攣性発声障害や声帯炎に対しする声帯内注入治療を行っています。
【嚥下外来】
清水顕臨床准教授を中心に行っています。昨今の高齢化社会では、肺炎の死亡率は上昇しております。そして65歳以上ではその大部分を誤嚥性肺炎が占めます。嚥下障害は誤嚥性肺炎だけでなく、脱水や低栄養も引き起こすため、嚥下指導の重要性は急速に増大しています。当科での評価は、主に嚥下内視鏡検査を行っております。内視鏡での評価が困難な症例については嚥下造影を施行いたします。評価結果に応じて、嚥下指導、栄養指導を行い、地域と連携を取って改善を図ります。保存的に改善が難しい場合には嚥下改善手術・誤嚥防止手術を検討いたします。嚥下障害が疑われる場合は、初診外来のスクリーニングもしくは専門担当者への直接予約となります。。外来患者さんで、どの程度のものが食べられるかを試したい場合は、ご希望の食形態のものを持参いただくと希望に合った検査が行える可能性があります(ご持参いただいても嚥下の状況によっては検査できないこともあります)。また、入院中の患者さんに対してはスクリーニングおよびリハビリテーションを耳鼻咽喉科医師、口腔外科医師、高齢診療科医師、摂食・嚥下障害看護認定看護師、言語聴覚士、管理栄養士でチーム医療として行っています。

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