病理診断科
業務内容
病理診断とは、患者から採取された細胞や組織を主に光学顕微鏡で観察して病変を診断することです。病理診断は、病変の質的診断には欠かせないものであり、とくに腫瘍においては最終的な確定診断となります。このことは、治療方針の決定、治療効果の評価、および予後判定に重要な意味をもちます。多くの疾患において、医療の質はその病理診断如何によると言っても過言ではありません。当病理診断科では、病理組織診断(生検組織診断、手術で摘出された臓器・組織の診断、手術中の迅速診断)、細胞診断、および病理解剖を行っています。また、定期的に診療各科との症例検討会(カンファレンス)も開催しています。
病理診断科の3つの特長
1国内屈指の豊富な病理医スタッフ
13名の医師(日本病理学会病理専門医13名[うち日本病理学会口腔病理専門医2名]、日本病理学会分子病理専門医8名、日本臨床細胞学会細胞診専門医11名[うち日本臨床細胞学会細胞診専門歯科医2名])が各々の専門分野における能力を生かしながら、全臓器の疾患に対応した高レベルの病理診断を遂行しています。
2徹底した精度管理
全症例に対してダブルチェックを行い、正確で迅速な病理診断を実践することにより、質の高い医療に貢献できるよう万全の体制で臨んでいます。
3患者本位の病理診断
診療各科との症例検討会(カンファレンス)を定期的に開催して、個々の患者に即した最善の医療が提供できるよう心がけています。
主な診断内容について
1.病理組織診断 | 1)生検組織診断 病変の一部を採取してそれを標本にし、光学顕微鏡を用いて診断しています。これは多くの場合、病変の確定診断となり、治療方針を決めるために重要な検査のひとつとなっています。全臓器の病変がその対象になりますが、胃・大腸・肺などの内視鏡検査のときにつまみ取られた検体、皮膚病変の一部切除検体、乳腺・肝臓などからの針生検検体が主なものとして挙げられます。生検組織診断を行うに際し、当部門では、光学顕微鏡による診断のみならず、種々の特殊染色、免疫組織化学染色、電子顕微鏡、および遺伝子検査を駆使して、高レベルで最先端の診断を遂行しています。 2)手術で摘出された臓器・組織の診断 全ての手術で摘出された臓器・組織は、病理医がまず肉眼的に病変の部位、大きさ、広がりを確認します。その後、診断に必要な部位を標本にして顕微鏡で観察して、最終的な病変の診断、病変の進行具合、手術の質的評価、化学療法や放射線療法などの治療に対する効果判定、予後判定等、術後の治療方針に必要な情報を提供しています。この臓器・組織の顕微鏡標本は、国家資格を有する臨床検査技師(16名在籍)が作製しています。 3)手術中の迅速診断 手術中に提出された検体を凍結標本にして、約15分で病理診断を行い、術者に報告しています。これは、手術前に診断が困難であったもの、癌の広がりや転移が不明瞭で切除範囲の決定が難しいもの、などに対して行われます。術中迅速診断結果は、術式の方針決定に重要な判断材料となります。 |
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2.細胞診断 | 患者から採取された尿・喀痰・胸腹水中の細胞、乳腺や甲状腺などの病変から細い注射針により吸引した細胞、および子宮頚部からこすり取った細胞から直接標本を作製・鏡検し、良性・悪性や病変の推定診断を行う検査です。病理組織検査と比べて、患者さんの負担が少ないという利点があります。細胞検査士の資格をもつ臨床検査技師(14名)によるスクリーニングの後、病理医による最終診断・報告を行っています。また、当病院は日本臨床細胞学会教育研修施設の認定を受けています。 |
3.病理解剖(剖検) | 不幸にして病死された方をご遺族の承諾のもとに解剖させていただき、死因の究明、病態の把握、治療の質的評価、治療効果の判定などを行っています。病理解剖では、病理医と臨床検査技師により、必要最小限の切開を加え、臓器を取り出した後、ご遺体は清拭されてご遺族のもとに戻されます。摘出された臓器は、肉眼的・組織学的に詳細に観察し、最終的な診断書を作成しています。これにより、今後の治療に役立つ情報を得ることができ、医学の進歩への貢献に繋がります。 |
4.症例検討会 (カンファレンス) | 当病理診断科では、部内のみならず臨床各科の医師と定期的に症例検討会(カンファレンス)を開催し、スタッフの診断レベルの向上や個々の患者に即した医療を提供できるように努めています。病院内で現在定期的に行っているカンファレンスの対象疾患としては、乳がん、腎炎、皮膚疾患、血液疾患、リンパ腫、甲状腺腫瘍、肺がん、などが挙げられます。また、病理解剖症例については毎月、臨床病理カンファレンス(CPC)を行っています。 |
連絡先
メールアドレス : pathol-1@tokyo-med.ac.jp