遺伝子診療センター
結合織外来
結合組織疾患とは
筋肉、骨、軟骨、靱帯、腱など体の組織を互いに結合する部位は結合組織からできています。また、皮膚や内臓などにも結合組織はあります。通常、結合組織は、ある程度の重さや張力に耐えられるだけの強さを備えていますが、全身の結合組織の組成が変化することで、結合組織が弱くなり、全身に様々な症状が出現します。遺伝性結合組織疾患には主にはマルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群、家族性大動脈瘤・解離などの疾患があります。
結合織外来について
結合組織疾患(マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群、家族性大動脈瘤・解離)が疑われる患者さんの診断と治療、遺伝相談などを行う専門外来です。
結合組織疾患は臨床症状や検査項目も多系統に渡るため、類縁疾患を含めた鑑別・診断・治療には、複数の専門診療科が連携して診療にあたる必要があります。
当外来では、院内の関連する診療科(心臓血管外科、循環器内科、小児科、整形外科、呼吸器内科、眼科、皮膚科、口腔外科、メンタルヘルス科、遺伝子診療センター)が連携し、院外の医療機関との積極的な連携を図りながら、結合組織疾患の診断と治療を行います。
マルファン症候群
マルファン症候群は骨格系症状、心血管系症状、眼症状等,全身に多彩な症状を呈する結合組織疾患です。常染色体優性遺伝であり、日本には約20,000人(出生5千~1万人あたりに1人)の患者がいると考えられます。FBN1という遺伝子の変化が原因となる遺伝性疾患ですが、家族や親せきに同じ疾患の人がいない患者さんも少なくありません。マルファン症候群の診断は、大動脈瘤や解離などの大動脈の症状、水晶体亜脱臼などの眼の症状のほか、家族や親戚に同じ疾患の方がいるかなどを参考として行われます。遺伝子検査でFBN1遺伝子に明らかな変化が認められれば診断は確定的となりますが、家族内で同じ遺伝子の変化がある方でも家族内でも病気の症状の出かたに違いがあることも多く、別の疾患として診断をされていることもあります。一方、マルファン症候群と似た所見を呈することのあるロイス・ディーツ症候群、家族性大動脈瘤・解離などでは病気の原因となる遺伝子が異なりますので、遺伝子検査を行うことによりそれぞれの病気を区別することが出来ます。
ロイス・ディーツ症候群
ロイス・ディーツ症候群はマルファン症候群に類似する動脈病変と全身の症状を示しますが、マルファン症候群とは異なる症状もいくつか認められます。病気の原因はマルファン症候群の原因遺伝子とは異なる、トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)という結合組織の合成や増殖に関与するTGFBR1, TGFBR2, SMAD3, TGFB2, TGFB3などの遺伝子の変化であることが分かっています。マルファン症候群と同じように、家族や親戚に同じ疾患の方のいない患者さんも少なくありません。ロイス・ディーツ症候群では、心血管系以外の症状が目立たないこともあるため、遺伝子検査により遺伝子の変化を調べることが診断上、重要となります。
家族性大動脈瘤・解離
家族性大動脈瘤・解離では病気の原因としてACTA2, MYH11, MYLK, TGFBR1, TGFBR2などの遺伝子に変化を来すことが知られています。家族性大動脈瘤・解離は、他の遺伝性結合組織疾患に比べて心血管系以外の症状がほとんどないことから、遺伝子検査により、遺伝子の変化を調べることが診断において重要となります。
結合織外来を受診するには
完全予約制です。
東京医科大学病院 遺伝子診療センターまでお問い合わせください。
電話:03-3342-6111(代) 内線:5822