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〈アレルギーセンターより〉インフルエンザと喘息について

2025.09.26

インフルエンザが喘息に与える影響

インフルエンザは、ただの「風邪」よりも強いウイルス感染です。高熱や強い咳が出るだけでなく、気道の炎症を悪化させるため、喘息を持つ方においては発作の引き金になりやすいことがわかっています。

実際に、インフルエンザをきっかけに喘息の症状が悪化し、救急外来を受診したり入院が必要になったりすることがあります。喘息の方にとって「インフルエンザにかからないこと」は、症状を安定させるための大切なポイントです。

ワクチンの効果について

インフルエンザワクチンには、インフルエンザにかかりにくくする効果、かかった場合でも重症化を防ぐ効果があります。喘息の方に関しては、研究で以下のようなことが報告されています。

  • ワクチンを接種した患者さんは、接種していない方に比べて、発作のために救急外来を受診したり、入院したりするリスクが少なくなる。
  • ワクチン接種によってインフルエンザそのものにかかる確率も減り、その結果として喘息の悪化も防げる可能性がある。

こうした結果から、世界的な喘息治療の指針(GINA)でも、インフルエンザワクチンは喘息管理の補助的な手段の一つとして提示されています。

ワクチンの安全性について

「ワクチンで喘息が悪くなることはないのか」と心配される方も多いですが、これまでの臨床研究では以下のことがわかっています。

  • 不活化ワクチン(日本で一般的に使われているタイプ)は、接種後2週間の観察期間に喘息発作が増えることはなかった。
  • 長期的にみても、インフルエンザワクチンが喘息を悪化させるという報告はこれまでない。
接種のタイミングと注意点

ワクチンは接種してから効果が出るまでに約2週間かかり、その効果はおよそ5か月間続きます。毎年秋から冬にかけて流行が始まるため、流行前の秋に接種するのが理想的です。接種の際には、喘息の症状が安定していることが望ましいため、調子が悪いときは主治医に相談してください。

まとめ
  • インフルエンザは喘息を悪化させる大きな原因の一つです。
  • ワクチンはインフルエンザ感染を減らし、発作や入院のリスクを下げる効果が期待できます。
  • これまでの研究で、インフルエンザワクチンが喘息を悪化させる証拠はなく、安全に接種できると考えられています。
  • 流行前に接種することで、喘息を安定させ、安心して冬を過ごす助けになります。

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