手術支援ロボット「ダヴィンチ」徹底解剖

産科・婦人科

産科・婦人科

ダヴィンチはせまい骨盤の空間(骨盤腔)の
手術にも最適です。

西 洋孝 主任教授

当科では、2009年に国内1例目の婦人科領域におけるロボット支援手術を行いました。現在は保険適用のあるすべての婦人科のロボット支援手術を行っています。

対応疾患

子宮体がん、子宮筋腫など良性子宮腫瘍、子宮脱など骨盤臓器脱

ロボット支援手術(ダヴィンチ手術)と婦人科疾患

 2020年の1年間で、国内外の全診療科で行われたダヴィンチ手術の総数は120万件を超えています。そのうち約30%を婦人科手術が占めており、ダヴィンチ手術と骨盤腔の深部に病巣がある婦人科疾患との相性の良さを表しています。
 2022年現在、日本では厚生労働省の定める基準を満たした施設に限り、保険診療として、子宮筋腫・子宮腺筋症などの婦人科良性疾患に対するロボット支援子宮全摘術子宮脱を含む骨盤臓器脱に対するロボット支援仙骨腟固定術早期子宮体がんに対するロボット支援子宮悪性腫瘍手術を行うことが認められています。当科では適応基準を満たす症例において、最新の第4世代手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を用いて、上記すべての術式を安全に遂行することが可能です。
 また、当科では2009年から医学研究として婦人科良性・悪性疾患に対してダヴィンチ手術を導入し、ダヴィンチ手術の優位性をもとにして、従来の腹腔鏡手術では施行困難な高度肥満、高度癒着などの症例も含めて手術実績を重ねてきました。2016年から2021年までは、先進医療として子宮頸がんに対するロボット支援広汎子宮全摘術も施行してきました。医学研究、先進医療、保険診療の全てを含めて、これまでに600例以上の豊富な症例を経験しています。
 

婦人科疾患におけるダヴィンチ手術のメリット

 ダヴィンチ手術は、3Dイメージ拡大視野下で術者の手と同じように自由に稼働するロボット鉗子を操作し行います。そのため、開腹手術では見ることが困難な狭く奥まったスペースにおいても、腹腔鏡手術よりも制限が少なくより繊細な操作が行え、その能力を最大限に発揮します。具体的には高度肥満症例での婦人科手術、骨盤深部での繊細な手技が必要な子宮脱(骨盤臓器脱)の根治術であるロボット支援仙骨腟固定術、そしてロボット支援子宮悪性腫瘍手術に伴う骨盤リンパ節郭清術などでその本領を発揮します。
 また、当院の経験のみならず国内外での報告から、高齢の方においてもダヴィンチ手術の安全性は確認されています。傷や痛みが少なく、より早期の回復が期待できます。一般的に開腹手術と比較した場合、手術には時間を要しますが、 出血量は約20分の1、入院日数が約4分の1になるなどといった良好な手術成績が得られています。しかしながら、ダヴィンチ手術といえども、従来の腹腔鏡手術と同様のリスクはあります。当科では安全に手術を行うため、産婦人科専門医の資格と、ダヴィンチ手術のライセンスの2つを保有した担当医が術者および介助者を務めています。さらに手術に関わるスタッフ全員が同一モニターを見て安全を確保しながら手術を行っています。

早期の子宮がんに適応するダヴィンチ手術

 これまでの国内外の報告から、早期子宮体がんに対するダヴィンチ手術は、開腹手術や腹腔鏡手術と比べて根治性、安全性の観点から劣ることはなく、肥満や高齢の方ではむしろ技術的有用性を発揮する可能性があると考えられています。根治性、安全性を損なわず、整容性にも優れ、より早期の回復が期待できるため、早期子宮体がんの方にダヴィンチ手術は大きな恩恵があると考えています。当院では2009年から医学研究として早期子宮体がんに対するダヴィンチ手術を導入し、多くの手術を行ってきました。
 また、2018年4月に早期子宮体がんに対するロボット支援子宮悪性腫瘍手術が保険適応となったため、当院でも適応基準を満たす場合には、積極的に保険診療で早期子宮体がんに対するダヴィンチ手術を行っています。2016年4月から2021年12月まで、先進医療として早期子宮頸がんに対するロボット支援広汎子宮全摘術を行ってきました。現在、先進医療は終了し、結果の解析を行っている状態です。そのため、現在当科では一定の条件を満たす早期子宮頸がんに対しては、保険診療での腹腔鏡手術で治療を行っています 。
 

図)当科におけるダヴィンチ手術の年次件数


(2022年4月更新)