Thoracoscopic Surgery

胸腔鏡手術について

胸腔鏡手術は胸腔(胸部の内部空間)内での手術を行うための低侵襲手術の一種です。肺がんや食道がんなどさまざまな胸部疾患や状況に対して適用されます。入院期間も開胸手術と比べて胸腔鏡手術では短くなり早期の退院が可能です。

呼吸器外科・甲状腺外科

胸腔鏡手術

胸腔鏡手術は、複数の小さな切開を通じて胸腔内にカメラと手術用の鉗子を挿入し、手術を行う方法です。従来の大きな筋肉や肋骨を切断する開胸手術に比べ、小さな傷口により傷の負担が軽減され、痛みも少なくなる利点があります。手術後の回復が迅速で、傷跡も目立ちにくいため、生活への影響が少ないことが特徴です。近年、胸腔鏡カメラや胸腔鏡手術機器の性能向上により、より詳細な術野の状況を視認することが可能となり、手術の精度や安全性が向上しています。当診療科では、肺がんをはじめとする多くの症例に対応し、肺切除手術や縦隔腫瘍、胸壁腫瘍など、幅広い胸腔内病変に対する胸腔鏡手術を行っています。

胸腔鏡手術
胸腔鏡手術
胸腔鏡手術
胸腔鏡手術

肺がんに対する胸腔鏡手術

肺がんに対する胸腔鏡手術では側胸部に1-3㎝ほどの小さな穴を4か所設け、そこからカメラや術者用の鉗子、助手用の鉗子などの器具を挿入して操作を行います(多孔式)。また、肺の状態や病変の状況によっては、1か所の穴で手術を行うこともあります(単孔式)。
近年、肺がんに対する肺切除手術は、従来の肺葉切除術に加えて、特定の条件が満たされる場合には切除範囲を縮小する術式として肺部分切除や肺区域切除術が標準手術として選択されるようになっています。当診療科では、肺がんに対する胸腔鏡手術をこれら標準術式の肺葉切除、肺区域切除、肺部分切除を対象として行っています。切除範囲を少なくすることで負担を軽減する縮小手術と、傷の負担を軽減するために行われる胸腔鏡手術は、肺がん手術の低侵襲化に貢献しています。
肺がんの病変の状況によっては開胸手術、拡大手術が必要となり、胸腔鏡手術が適応とならない場合もあります。肺全摘術は開胸で行っております。

東京医科大学病院での特色

当診療科では2009年から肺癌に対する根治切除手術を胸腔鏡手術で行うようになり、現在では9割以上が胸腔鏡手術で行われています。以前であれば開胸手術、拡大手術が必要とされる一部の症例も条件によっては胸腔鏡手術を併用して施行する取り組みも行っており、術後の負担軽減に貢献しています。また新規機器の導入や手技の定型化、教育、普及にも注力し手技の向上、術者の育成も行ってまいりました。各スタッフの技術が平均的に高く、安定していることも特徴です。

関連リンク

https://team.tokyo-med.ac.jp/kokyukigeka/shinryo/lung.html

呼吸器外科・甲状腺外科について

診療科ページ

https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/kokyukigeka/index.html

胸腔鏡手術の対象疾患

  • 肺がん
  • 肺良性腫瘍
  • 転移性肺腫瘍
  • 縦隔腫瘍
  • 胸壁腫瘍
  • 自然気胸
  • 気腫性巨大肺のう胞