早期の社会復帰をサポート
患者に優しい低侵襲治療
患者さんの負担が少ない低侵襲の術式として導入された鏡視下手術(腹腔鏡下手術・胸腔鏡下手術)などの特長を活かし、ロボット機能を付加したことで、従来不可能とされていた角度からの視野の確保と、鉗子の自在で細密な動きを可能にしたのが「ダヴィンチ」です。その優れた技術と操作性は患者さんや医師にとっても大きなプラスの作用をもたらします。
「ダヴィンチ」手術は、鏡視下手術と同様に患者さんの体に小さな穴を開けて行う、傷口が小さい低侵襲の手術です。この術式は出血量を極端に抑え、術後の疼痛を軽減、機能温存の向上や合併症リスクの大幅な回避など、さまざまなメリットがあります。
- 開放手術と比較すると、極めて少ない出血量。術中に輸血が行われた例はほとんどありません。
- 患者さんの皮膚を切開する傷口は、鉗子を挿入する8~12mmほどの幅で、最大で6カ所です(術式によって異なります)。
- 小さな傷口のみで行われる手術なので、皮膚や筋肉を切開した痛みはほとんどありません。
- 傷口が小さいため、術後の回復が早い傾向にあります。開放手術よりも1週間以上も入院期間が短縮されたり、初期の子宮体がんの手術であれば約3日で退院できる場合もあります。
- 鉗子の操作性が格段によくなり、細密な動きによって機能が温存できる可能性が期待できます。
「ダヴィンチ」手術は、これまでの鏡視下手術にロボットの機能を組み合わせて発展させた術式。内視鏡カメラとアームを挿入し、術者が3Dモニターを見ながら遠隔操作で装置を動かすと、その手の動きがコンピュータを通してロボットに忠実に伝わり、手術器具が連動して手術を行います。
手術を担当する医師はサージョンコンソールと呼ばれる機械に座り、患者さんに触れずに遠隔操作によって手術が行われるのも「ダヴィンチ」手術の大きな特長です。患者さんに触れることがないため、術着なしでの手術が可能です。またこれまでは医師が無理な体勢を強いられたり、立ったまま長時間の手術が行われてきました。しかし「ダヴィンチ」手術では、そうした医師の肉体的な負担も軽減できます。加えて手ぶれを防止し、突発的な動きを制御する機能が医師のメンタルをサポート。術者にかかるストレスが軽減され、より確実な手術を行えます。