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◆ 海外感染症流行情報(2012年1月号)
東京医科大学病院 渡航者医療センター
●年明けからアジア各地で鳥インフルエンザ患者が発生
1月になりアジア各地で鳥インフルエンザ(H5N1型)の患者が報告されています。
中国では広東省・深センで39歳の男性(バス運転手)が12月末に発病し、その後死亡しました(WHO Global Alert and Response 2012-1-5)。この男性は家禽と接触した形跡がなく、発病に至った感染経路は不明です。この事例は中国で2010年以来の患者発生になります。
ベトナムでも南部で18歳男性が1月初旬に発病し、死亡が確認されました(WHO GAR 2012-1-20)。この男性もベトナムで2010年以来の事例です。これ以外に、1月はインドネシアのジャカルタ周辺などで2人(WHO GAR 2012-1-11/19)、カンボジアで1人(WHO GAR 2012-1-16)の患者が報告されており、いずれも死亡しています。
アジア各地では家禽の間で鳥インフルエンザ(H5N1型)の流行が続いています。人間の患者も散発しており、依然として高い致死率になっています。患者発生国に滞在中は、生きた家禽を販売している市場などに立ち入らないように注意してください。
●北半球でのインフルエンザ流行
北半球では1月になり各地でインフルエンザの流行が拡大しています。
日本では2012年第2週の定点あたりの報告数が7.33で、これは前週の報告数の2倍近い値になります(国立感染研・感染症情報センターHP 2012-1-18)。ウイルスの型ではA(H3N2)型が多く検出されています。
世界的にはカナダ、西ヨーロッパ(イタリア、スペインなど)、北アフリカ、中国などで流行が拡大しています(WHO Influenza Update 2012-1-20)。検出されたウイルスの大多数はA(H3N2)型ですが、メキシコではA(H1N1)型、中国ではB型が多くなっています。なお、A型ウイルスについては今季のワクチン株と流行株の間に大きな違いがみられていませんが、B型はワクチン株に含まれていない種類が流行株に含まれています。
●インドのマラリア流行状況
インド保健省の発表によれば、2011年は11月までに国内で118万人のマラリア患者が発生しました。 http://www.nvbdcp.gov.in/Doc/Malaria-situation-Nov11.pdf
このうちの58万人は重症の熱帯熱マラリア患者で、死亡者数は430人でした。例年は約150万人(熱帯熱は約80万人)の患者が発生しており、2011年は減少傾向にあることがわかります。地域別ではベンガル湾沿いのオリッサ州や、その内陸部のチャッテイスガル州、ジャルカンド州など北東部の州で患者発生が多くみられます。
日本の国立感染症研究所の報告では、日本からインドへの海外渡航者でマラリアを発病した者の数は、2006年~2009年が23人でした。このうち21人は良性の三日熱マラリアの患者で、熱帯熱の患者は1人だけでした。 http://idsc.nih.go.jp/disease/malaria/2010week38.html
近年は日本からインドへの渡航者が増加しています。滞在中はマラリア予防に心がけることが大切ですが、予防薬の服用は一般にお奨めしていません。まずは蚊に刺されない対策をとってください。マラリアを媒介するハマダラカは雨季(北インドでは6~9月)に増加し、夜、吸血する習性があります。また、滞在中あるいは帰国後にマラリアを疑う発熱があった場合は、早めに医療機関を受診して、検査や治療を受けるようにしましょう。
●インドネシア旅行中にHIV感染をおこした事例
オーストラリア保健当局は、同国の旅行者がバリ島滞在中にHIV感染をおこした可能性があると発表しました(検疫所HP 2011-12-28)。この旅行者は滞在中にタトゥー(刺青)を入れており、その際に感染したと考えられています。ただし、バリ島では近年になり売春婦の間でHIV感染者が急増しており、その経路から感染した可能性も否定できないとのことです(Pro MED 2011-10-27)。
B型肝炎やHIV感染症など血液に媒介される感染症は、タトゥーやピアスの穴あけなどの美容行為で感染することがあります。東南アジアのリゾートでこうした行為を受ける日本人旅行者も少なくありませんが、充分に注意を喚起すべきと考えます。
- 海外感染症流行情報(2011年12月号)
- 海外感染症流行情報(2011年11月号)
- 海外感染症流行情報(2011年10月号)
- 海外感染症流行情報(2011年9月号)
- 海外感染症流行情報(2011年8月号)
- 海外感染症流行情報(2011年7月号)
- 海外感染症流行情報(2011年6月号)
- 海外感染症流行情報(2011年5月号)
- 海外感染症流行情報(2011年4月号)
- 海外感染症流行情報(2011年3月号)
- 海外感染症流行情報(2011年2月号)
- 海外感染症流行情報(2011年1月号)
- 海外感染症流行情報(2010年12月号)
- 海外感染症流行情報(2010年9月号)
- 海外感染症流行情報(2010年8月号)
※過去の「海外感染症流行情報」は、PDF形式でご覧になれます。
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