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CVラインセンター

CVラインセンターの役割

CVラインセンター設置の経緯と目的

 CVラインセンターは、2004年10月に設置されました。当時、東京医科大学病院では2例のCVライン(中心静脈カテーテル)に関する極めて重篤な合併症を経験し、大変残念なことに、そのうち1名の患者さんを亡くしてしまいました。この医療事故を風化させることなく、同じ過ちを繰り返さないために、患者さんのご遺族からいただいた「東京医科大学への提案10か条」を受け、メモリアルデー(医療安全誓いの日)として2005年に創設。本学では、全学的な取り組みとして毎年8月第一土曜日に開催しております。
 当時は全国でも中心静脈カテーテルに関する医療事故が多数報告され、医療安全領域でも最も重要とされていました。そこで、当院をあげて最善の対策を考え安全に中心静脈カテーテルを管理する目的として、2004年10月25日に専門の管理部門である「CVライン管理部会、CVラインセンター」の設置に至りました。
 中心静脈カテーテルは、医療において必須の手技で、当院では年間約1500件以上が行われています。「中心静脈カテーテル挿入・管理に関する院内ガイドライン」は適期更新され、2021年度からは資格制度に加え知識とスキル維持のための更新制度も開始されており、より一層の医療の質と安全の向上を図っています。その取り組みの結果、合併症の発生率は当時の9.1%(2003年NEJM は15%)から2.1%(2020年度)と激減させることにつながっています。

院内医療安全文化の基盤としての役割

 安全を最優先にした医療の形としてCVラインセンターは、他に類を見ない部門です。当院の初期研修医全員が「中心静脈カテーテル挿入・管理に関する院内ガイドライン」を学ぶことを必須とし、その教育が医療安全文化の基盤となっています。患者さんに安全な医療を提供する、という医療で重要なことを具体的な考え方や手技で教育するという大きな役割を担っています。

合併症を防ぐガイドラインの特徴

  1. 専門のCVラインセンターで行う。
  2. CVラインの挿入では2名以上の医師、1名以上の資格を持ったCVライン認定医が術者または介助者として立ち会う。
  3. 手技は「中心静脈カテーテル挿入・管理に関する院内ガイドライン」に準拠する。特に本ガイドラインでは経験した重大事故を鑑み、以下の細則を遵守する。
    • CVラインの挿入にあたってはレントゲン透視下、あるいはエコーガイド下で行う。
    • レントゲン撮影を挿入直後に1回目、4~8時間後に2回目を撮影し安全確認をする。
    • 穿刺後にカテーテルから採血して血管内にあること、静脈にあることを確認する。
    • 穿刺の回数を制限する。
  4. カテーテル抜去合併症(空気塞栓など)、感染など管理上の合併症を防ぐ。
  5. すべての事例の実施記録・事後記録の作成を義務づけ、CVライン管理部会で安全維持のためにフィードバックを行う。
  6. 定期的にCVラインに関する研修会を開催し、CVラインに関する院内安全管理の意識向上、維持に努める。

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