ウイルス性肝炎などの肝臓病がある人はもちろん、血液検査で肝機能関連に異常値があったり、肝炎ウイルスの感染が判明した場合は、肝がんの有無を調べる検査を受けることが必要です。ウイルス性肝炎がある場合は、3~4カ月に1回、それ以外の場合は半年に1回ほど、以下のような検査を受けます。

血液検査
がんが体内にあると、がん細胞自身や、がんに対する体の反応で作られたりする物質が血液中に放出されます。この物質は、がんができた臓器やがんの種類によって異なるため、血液中の量を調べると特定のがんの有無を推測することができます。これを「腫瘍マーカー検査」といいます。肝がんの腫瘍マーカー検査にはAFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3分画の3つの項目があります。肝がんがあった場合、どの治療法を選択するかは肝機能の状態が関係するため、血液検査で肝機能も調べます。

画像検査
腫瘍マーカーだけでは、肝がんがあると断定することはできません。併せて画像検査を行い、肝がんの確定診断とがんの進行度を調べます。
まず、最初に行う画像検査は、患者さんの負担が最も少ない超音波による検査です。診断装置の進歩により、現在では1cm程度の小さながんも発見することができます(図1)。がんの診断をより正確に行い、よりがんを見つけやすくするために、ソナゾイドと呼ばれるマイクロバブルでできた造影剤を使用した造影超音波検査もあります(図2)。(マイクロバブルとは、ソナゾイドのマイクロバブルは脂質膜に覆われた径3μm(赤血球の大きさは7-8μm)程度の気泡です。
そのため、最終的な排泄経路は呼気であるため、腎障害のある患者でも安全に使用することができます。しかし、肝臓には超音波では観察しにくい部位があります。そのため年に1度はCT検査やMRI検査を受けておく必要があります。また、肝がんの診断精度が最も高い検査法として「EOBプリモビスト」という造影剤を使ったMRIもあります(図3)。
図1 腹部超音波検査
図2 ソナゾイド造影超音波検査
図3 EOB-MRI
最終更新日:2020年9月30日