東京医科大学病院

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お知らせ・リリース

市民のみなさま

<小児科より> RSウィルスに関するお知らせ

2015.11.24

小児科よりRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus Infection)に関するお知らせ

 RS(Respiratory Syncytial)ウイルスはParamyxovirus科のエンベロープを持つRNAウイルスで、大きくA型とB型の二つに分類されます。生後1歳までに70%、2歳までにほぼ100%が初感染を受けるといわれるほど頻度が高い感染症です。本邦における感染者数は小児科の定点把握では年間約5万人と報告されています。感染者の30から40%において下気道感染を発症し、1から3%が重症化し入院するとされます。

 RS感染をきたしやすい基礎疾患として、従来より早産児や慢性肺疾患、先天性心疾患が知られています。重症例における全国調査では、ミオパチー群の筋疾患や、乳児白血病、自己炎症性疾患、ダウン症候群に代表される染色体異常などの重症化が認められています。先天性心疾患においてはRSウィルス感染のため入院した先天性心疾患患児の死亡率は2~6倍です。また、臓器や造血幹細胞移植後の下気道感染ではRSウィルスは第2位で、50から60%の死亡率とされています。ダウン症候群でのリスクは先天性心疾患に有無によらず高くなります。

 細気管支炎に代表される下気道感染が重篤な主な病態となっている。細気管支炎は年齢依存性があり、早期乳児に集中します。重症の呼吸器感染の呼吸管理が必要となる。レントゲン所見から細気管支炎と肺炎に分類されます。

 呼吸器感染を除いても、心筋炎ならびに不整脈や、突然死、RS脳症が知られています。PICUに入院したRSウィルス感染者の1.8%が痙攣をおこすとされます。海外の症例と合わせ神経学的症状としては①全身性強直性痙攣(一部に片側性間代性痙攣)、②意識障害(嗜眠)、③無呼吸、④企図振戦、⑤内斜視、⑥過敏症、などです。
 治療は基本的には酸素投与、輸液、呼吸管理などの支持療法が中心です。現在の予防は、遺伝子組み換え技術により作成された、RSVの表面蛋白のF蛋白に対するモノクローナル抗体であるパリビズマブが使用されています。RSV流行開始前から流行期の間(当院では9月から翌年4月)1カ月毎に筋注します。ワクチンや抗ウイルス薬も開発されつつありますがまだ研究段階です。有効な予防策はパリビズマブのみです。

パリビズマブ(シナジス®)を希望されるかたは小児科外来にて予約してください。また、罹患した場合は、呼吸不全(呼吸困難や頻呼吸、哺乳力低下)などに注意し、観察してください。予防には標準予防策と接触感染予防策が推奨されます。家庭内での患者の隔離とコホーティングも有用です。

20151124.jpg*パリビズマブの適応:①在胎期間28週以下の早産で12ヶ月齢以下、②在胎期間29~35週の早産で6ヶ月齢以下、③過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24ヶ月齢以下、④24ヶ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の児、⑤24カ月齢以下の免疫不全症(複合性免疫不全、DiGeorge症候群、HIV感染、ステロイド使用によるT細胞機能低下状態、造血幹細胞や臓器移植、骨髄抑制を伴う化学療法、全身性エリテマトーデス、ネフローゼ症候群など)、⑥ダウン症候群については保険でカバーされます。

文責:小児科 科長 河島尚志(Hisashi Kawashima

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